【診療科選びのリアル】3つの診療科で揺れた私が、後悔しない選び方を語る

キャリアと働き方

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「この診療科で本当に良いんだろうか…」

初期研修医や医学生の多くが、一度はこの不安を感じるのではないでしょうか。

私自身も、精神科志望として医学部に入り、救急に心を奪われ、
たくさん迷った結果、最終的に麻酔科を選びました。

我ながらコロコロ変わりすぎですよね💦

ワークライフバランスも考え抜いた“はず”の選択でしたが、
実際に進んでみると、そこには理想と現実のギャップがありました。

この記事では、私が診療科選びで

  • 何に迷い
  • 何を基準に決め
  • 何に気づいたのか


について、当時の記憶を振り返りながらお話しします。


原点

私は当初、精神科医を目指していました。

きっかけは、家族がメンタルを病んだときに出会った一人の精神科の先生です。

絶望の底にいた家族を救ってくれたその姿がとても印象的で、
「私もいつか、あんなふうに人を救える医師になりたい」と思いました。


臨床実習で揺らいだ気持ち

ところが、臨床実習が始まると、その気持ちは少しずつ揺らぎ始めました。

精神科以外にも、面白い診療科があまりにも多かったからです。

手術のスピード感や緊張感、
救急や麻酔での「1分1秒で結果が変わる」現場の空気。

どれも新鮮で刺激的でした。

さらに、「早い段階で精神科に進んでしまって、身体のことが分からなくなったらどうしよう」という漠然とした不安もありました。

もちろん精神科医が身体を診られないわけではありませんが、
学生の立場ではどうしてもそう感じてしまったのです。


救急との出会い

そんな中で、私の心を強く掴んだのが救急でした。

救急では、頭から足の先まで、とにかくすべてを診ます。

内科も外科も、整形も、小児も、時には精神科も関わります。

毎日来る患者さんも症例もまったく違い、同じ一日は二度とありません。

「こんなに幅広く、こんなにやりがいのある診療科があるのか」と衝撃を受けました。

“全部診られる”という特徴に、私は強く惹かれていました。


麻酔科との予想外の出会い

一方で、初期研修で回った麻酔科は、最初は正直なところ最悪の印象でした。

早朝出勤がつらい。
事前知識もなく、興味もない。
必修で決まっていたから仕方なく…。

そんな気持ちでした。

ところが、実際に働いてみると、印象は一変しました。

手技が多く、患者さんの状態が刻々と変わり、判断の連続です。

1件1件が完結していく感覚もあり、緊張感と達成感がありました。

救急と通じる瞬発力の面白さも感じるようになりました。

気づけば私は、あれほど興味がなかった麻酔科に夢中になっていました。


3択で悩み続ける

こうして私は、精神科・救急・麻酔という三つの診療科の間で、本気で悩むことになります。

決め手になったのは、将来のライフスタイルと働き方でした。

  • 体力的に長く続けられるか。
  • 当直明けの勤務はどうなるのか。
  • 医局の雰囲気はどうか。

当時の私は、
「全身を診ることが出来る」
「比較的ワークライフバランスを自分でコントロールしやすそう」

と言う判断基準で麻酔科を選びました。


理想と現実のギャップ

しかし、実際に医局に入って働き始めると、想像していた働き方とは違う現実が待っていました。

研修医のころは、17時になれば「帰っていいよ」と言われることがほとんどでした。

そのため、早朝に始まる分、夕方は早く帰れるのだと、私は完全に勘違いしていたのです。

けれど、研修医と医局員の働き方はまったく別物でした。

研修医が見ている働き方は、あくまで“見学用”の一部でしかなく、
完全な再現はほぼ不可能だということを、私は後から痛感しました。

入局して感じた違和感についてはこの記事でも詳しく紹介していますので、読んでみてください!


診療科選びで伝えたいこと

臨床実習や初期研修で、さまざまな診療科と出会い、
「こんな世界もあるのか」と新たな魅力に気づくのは、誰もが経験することだと思います。

その中で悩み、迷いながら、自分なりの選択をしていく。

初めから決めていた診療科を貫く人もいれば、
新たな魅力との出会いによって、過去の自分からは想像もできない選択をする人もいます。

私は、どちらも正解だと思っています。

この経験から私が強く思うのは、
診療科選びは「一度決めたら一生変えられないもの」ではないということです。

だからこそ、自分が何を大事にしたいのか、どんな人生を送りたいのかを、
できるだけ言葉にしてから選んでほしいと思っています。

そしてもう一つ、理想をすべて満たす完璧な場所は存在しないということです。

どれだけ調べて、納得して選んだとしても、
「少し違うな」「思っていたのと違うな」と感じる瞬間は、必ずやってきます。

そのときに大切なのは、「我慢し続けること」ではなく、状況に応じてすぐに対応できる力を持っていることだと、私は思います。

転職するのか、転科するのか、そのまま続けるのか。

どんな選択をするにしても、決断する力が必要になります。

その決断力の土台になるのが、「自分は何を大事にして生きたいのか」という価値観の軸です。

収入なのか、時間なのか、家族なのか、やりがいなのか。

その軸がはっきりしていれば、迷ったときにも自分なりの答えを出すことができます。


どんな選び方も正解にしていける

私は、最初に希望していた診療科とは全く畑違いな診療科を選びました。

その選択が、当時の自分にとっては“最善”だったと思っていますし、同時に「想像と違った」と感じる経験もしました。

でも今は、こう思っています。

診療科選びに、最初から完璧な正解はありません。

迷いや遠回りもすべて含めて、自分の人生だと感じています。

そしてもし、「違うな」と思ったときには、選び直してもいい。

人生は一度きりですが、進路は何度でも修正できます。

今まさに診療科選びで悩んでいる初期研修医や医学生の方にとって、
この記事が「どんな選択をしても大丈夫だ」と思える、少しの安心につながれば嬉しいです。

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